ファンのため、に。

さっきFM802で知ったことなんやけどね。日本のマドンナのファンが「マドンナを日本に呼ぼう」とネットで署名を集めていて、それが20万人分になったら働きかけようというのを、どこかからマドンナ本人が知って感激したらしい。で、「年内に日本でライヴをやる!たとえ、年内にライヴが出来なくともTVやラジオででも」ってこと決めて、目下手はずを整えているということなんやけど。

 僕はマドンナ、そんな知らないけど、この話は素晴らしいと思う。彼女と彼女のブレーンは、自分がだれに支えられているか、何をもって謝意を表すべきかよく知っている。決意したことの半分も出来ないかもしれないけど、具体的にすぐに働きかけるその動きだけでも、彼女の本気が伝わってくるもんね。彼女のファンは誇らしいよね。具現化するには、膨大な契約事項をクリアし、数々の場所や人を押さえ、違約金も含めたお金を使い・・・。スーパースターを取り巻くがんじがらめのシステムを凄い労力で変えていくことになるわけやから。 もちろんビジネスとしてみて、世界第2のマーケット・日本での好印象をという計算もあるやろうけど、この意志決定から行動までの早さは、やっぱり誠意やで。

 翻って日本では。本気でファンのこと考えている「アーティスト」さんって、だれがいるのかな。僕は知らないです。あ、もしかしたら一人だけ。矢沢永吉さん、エーチャン。彼はそうやな。例の26億円を信頼していたマネジャーの一人に盗まれてお金がなくなった時に、スタッフからコンサート経費を削る話が出て。それ聞いてエーチャンは激怒したらしい。「お前ら、ファンを裏切るのか!」って。最高や、エーチャン。筋が通ってる。・・・でもね、ほかにはいないような気がする。寂しいけどね。日本の場合、売れて自分にどれだけお金が入ってくるのかをそもそも考えていない人ばっかりなんよな。うん、アーティストがビジネスで音楽を作っていないんよ。だから、お金を動かしている事務所とかレコ会社にスタッフが多いんよ。売れたアーティストのお金で食べれるから。

 で、ブレーンが増えると、物事の決定・決済が遅れるわね。それだけならまだしも、バカな事務所の社長なんかは「だれのおかげで売れたと思ってるのか」なんて言い始めて、アーティストと支援サイドのチカラが逆転するわけや。こうなると、ファンもへったくれもないわな。事務所はお金を作ってスタッフの生活を支えること、もっと言えば自分たちの生活レヴェルを向上させるために、アーティストを使い始めるわな。

 たとえ目の前に3人しかお客がいなくても、その3人が凄く喜んでくれたら、ミュージシャンはそれだけで嬉しい。ましてや、ウン万人が怒涛のようにうねりながら熱狂してくれると、ホントお金なんかいいわ今日は!って思えるかも知れない。だって自分の作った音楽がものすごい人に聞かれているわけでね。それだけでプライド持って生きていけるって。マドンナが大切にしていることって、そう言うことやと思う。だから本人が万難を排して動くんやわ、きっと。で、その後でブレーンが収支を考える。この順番は絶対そうや。

 ほんま、日本の「アーティストさん」たちに考えてもらいたい。あんたら、ライヴやってて楽しいか?自分の思いどうりにファンが反応してくれてるか?ずれた観点で乗ってくる人、周りに多くないか?もちろんビジネスやから、結果お金が残ったらそれでいいんやけど、お客さん大切にしとかんと、最後に自分がやりたいことがわからんようになるで。

アーティストさん。あんたらがいて音楽が出来て、初めて産業が成り立つんやわ。スタッフは、後から。
あんたらはファンと向き合って音楽を作ってくれたらいいんよ。やることはそれだけでいい。
そのこと、頼むわ。