大人のバンドブーム

 大人のバンドブームだそうな。つまり、中高年になったオヤジやオバハンが、やっと出来た時間を使って、かつて情熱を燃やしたロックバンドをもう一度作って、リフレッシュしてると。もちろん中には40台から楽器はじめたひともいたりするし、そんなこんなでCDや楽器が親父たちに売れているらしい。マーケットが出来たら、発表する場も必要で、それ用のコンテストなんかも盛況で。

 僕が知る限り、きっかけはもう7年くらい前かな、NHK福岡が主催して、今や看板番組になった「おやじバンドコンテスト」やと思うけど。アレ以来、全国の楽器屋主催のシニアむけコンテストが立ち上がり、YAMAHAなんかは「大人の楽器教室」でアンサンブルまで指導しているし、それなりに盛況らしい。

 おやじバンドのライヴ。はっきり言って大人の学芸会と寄り合いが混ざった「場」なんよな。そこには人の交わる楽しさはあって、それなりにウツクシイ状態なんやけど、音楽は死んでいる。というか、過去生きてた音楽「ロック」を、バンドはそのまんまコピーしているから、音楽は止まっているというべきかな。

 困るのは、僕や僕らのバンドや、長くライヴハウスで自分の音楽を磨いてきた人たち。風体は、おやじ。でも、届けている音楽は、05年のものである人たち。僕らの音楽は、今を歌っている。評価は人に任せるけどね。本当に困る。邪魔すんなといいたい。

 いずれ、この国の得意な「パッケージング」が始まるとは思うけどね。つまり、おやじバンドの人たちはそれなりの発表の場をもち、それなりのお客さんの前で、そのときだけ盛り上がるような、その文化だけで完結する流れが。そうなってもらわないと困るんよ、本当に。

 一度完全に離れた「考え方」に、戻れると思ってるのかな、親父たち。それはムリなんやで。ほら、レスポール買ってから、お宅の家庭事情は悪くなってるやろ?それは仕方のないことなんやで。あんたたちは一旦「収まった」んやから。そのことだけは、わきまえといてね。それと、一旦始めたんやから、止めたらあかんで、今度は。