番外編 スガ シカオのこと


 実は彼の初期になると思うのですが、大好きでした。これはFM802で聴いて。あれっていつやったかな? とにかく、ある日の夜、いつものように自宅に帰る車で、ラジオを聴いてたら、リフとワウワウギターが聞こえ始め、モロにウーリッツアーという会社のエレピの音で、スライのファミリー・アフェアという曲に出てくるフレーズがそのまま流れてきました。 そう。「黄金の月」です。

 おお、レニークラヴィッツ、スライをぱくったんかい!でもそれは反則やぞ。っと思ってたら、日本語の歌詞です。「僕の情熱は いまや、流したはずの涙より・・・」って、すごい印象的な歌詞。ここまで聞いた時点で、車を沿道にとめ、真剣に聴きました。で、最後のリフレインがFOしていく頃には、「誰やこいつ。」とアナウンスを待ってたのです。その時はでも、わからんかった。

 こんな出会いって、すごく気になるでしょ。で、思わず802に電話して「今の、だれ?」ってたぶんおっさん入った言い方で聞いたんです。で、彼の名前を知りました。翌日、レコード屋にいって「スガシカオのCDって、ありますか?」って聞いても「え?イヤー」といわれ、どうなってるんやと思ってるうちに、その曲はがんがんかかり始めました。 そうこうしてるうちにBSでライヴがあった。今と違って、ちーちゃなハコでした。そこで「黄金の月」をアコギ1本でやられたときに、「おう、おう!来たな、ついに!」と声を出してカミサンの前で言いました。 たしかこの頃、奥田民生も好きになってて、2人ともロックの子なんやな、と思っていたのを覚えてます。

 スガシカオの好きなところは、ずばり、こいつがものすごい音楽マニアであるところ。それと、歌詞の才能。さらに、セルフプロデュースの才能。僕は、いまだにCDは1STになるのかな、「黄金の月」のヤツしか持ってないし、バイオってそんな知らない。知ってるのは、ネットでたどり着いた彼のサウンドを一緒に作ってる人のサイトにあった、スガシカオの機材とか音楽作成法とかくらいなんですが、なんと言っても音楽が雄弁に語ってますもんね、彼の才能を。

 相当黒人音楽を聴いてるし、研究してるよ、この人。特に日本語のビートの乗せ方については、現時点ではNO.1ですね。この部分は天才です。フツー、元ネタが分かったら、ガックリ来る人が多いのですが、この人や奥田民生の場合は、アーティストへの敬意がちゃんとあるからOK。だって、スライ&ザ・ファミリーストーンのフレーズが最近の曲にも出てくるけど、センスいい引用で、元ネタの印象を完全に消してるもん。

 すごいと思うのは歌詞です。ちゃんとした日本語を歌うFUNK好きって、この人が初めてでしょうね。知性が高い。あれだけの洞察力でカタカナを使わずに歌詞が書ける人は、最近ではいないでしょうね。ラジオとかで喋ってるのを聞くと、「こいつ、バカの振りしてるなあ。」と思うのです。

 彼や山崎まさよしヒライケン(君は「キャッチボール」を聞いたか?)には、どんどん爆発してもらって、ファンの人が元ネタを探し始めるくらいのポピュラリティを得てもらいたいものです。 まっとうに音楽で勝負する奴らが売れるのを見てるのは、やっぱり痛快やもんね。