ありやまな、う!

 ・・・しかし、笑うわなあ。かおりさんからあるブツのお礼として有山さんのヴィデオ、いただきました。あいも変わらずマイペースな、最高なライヴです。

 僕はなんやかんやでこの人のライヴ、この20年ほどで10回以上は見てるけど、本質は全く変わってないわね。時々でバンドであったり、エレキ弾き語りであったりしたけど、その音楽の質はなーんにも変わってない。70年代にも数回見てるけど、マッタク同じやったし。会場が銭湯だったときも、数千人の野外フェスでも一緒。サスガに進行がタイトなオムニ形式の場合は、タバコとか酒はないけど、他のバンドはそれで普通やもんなあ。

 こうやって数年に1回とかでありやまさん見てると、ファンやとか音楽がどうとかやないんよね。「ああ、あのムードが来るねんなあ。」と思うだけ。いい音楽に決まってるし、場はいい空気に決まってるし。だから、そこに行きたいかどうかはその日の自分のノリだけ、みたいな。僕は有山さんたちの音楽で育ったし、あって当たり前の音楽なんで、不謹慎ながら、「いつでも聴けるわ」みたいな気持ちがあるな。

 「いつでも聴けるわ」というのは、でも、凄いことでね。お皿洗いながらでも、ヘッドフォンで集中してでも、車でも、全然いやらしくない音楽なんよ。アタマの片隅にかすかにいつも置いてある音楽で、CD聞かなくても好きな曲はアタマから取り出せるというレベルです。ああ、ごはんとかそんな感じ。僕と同世代で、今も音楽が好きな人の何割かは、僕と同じやと思うけどね。ちょっと集中したら、あの声やギターのタッチや小さなマーティンがふわっと浮かんでくる。で、多分にやにやしてる。 ああ、そうそう。有山くんとかキムラの話をみんなでするときって、みんなすっごく嬉しそうや。声が変わるもんな。それくらい、あの人って特別やわ。

 基本的に、PAもなにもいらない音楽。アコギとあのひとの歌があるだけの音楽。ただ、特別なのは、耳に入れながらも何か作業が出来る音楽。BGMにもなるんやけど、妙に気持ちが持ち上げられる音楽。例えば、凄く凹むことがあったときにかけたら、その凹ませる事柄が小さなことのように思える音楽。ラジカセでもオーディオでも楽しい音楽。僕はそんな風に思います。あえて「ほのぼの」とか書かなかったのは、あるひとつのムードだけが伝わってくる音楽じゃないし、いつでも聴けるけどいつ聴いても何か残す音楽なんで。

 人間性がにじみ出ているような、とかいう表現も、僕は違うと思う。ありやまさんって、彼の歌から伝わってくるような、それこそ「ほのぼの」した人じゃないと思う。音楽に対しては、本当に厳しい目をもってはるし、自分にも厳しいし。あの人の歌世界は、長い間でねり上げた芸風ですからね。この、もらったヴィデオの中でもBAHOとしての石やんが若い頃のありやまさんの話をしてますが、相当ストイックなところがある人です。僕、そんなところが好きですけどね。

 ・・・あかんわ。有山さんのことを書けないです、僕。なんか前からそう思ってたんやけど、実際トライしてみて良くわかった。自分の音楽の絶対基準の一つやからやわ。アコギの最良なプレイとか、歌詞やヴォーカルの理想とかの一つなんよね、自分の中で。それと、練習を絶対に人に見せないとかの、姿勢的なことも。 聴いたら数秒で分かると思うけど、オンリー・ワンやからな、あの人も。