山崎まさよしの影響

 最近、特にここ数年、アコギでソロライヴをやると、タイバンにくる若い男の子たちに共通な特徴があって。それが今回のテーマである「山崎まさよしの影響」なんよ。だいたいそんな子達は、まず編成がVO+アコギの子と、カホンジャンベの子というユニットで。リハのとき彼らを見ると、もう音を聞きたくなくなる。わかるもん、出てくる音が。

 で、大体、そこそこ歌えるし、上手いんよな。オリジナル歌ってるし。でも、出自がミエミエやから、結局ホンモノまでもいかん印象を、聞く前から持ってしまう。そんな子達は、必ずといっていいくらい、本番前にアンケートを配ってる。一度僕のところにも来たんで、申し訳ないけど本当の事を書いてしまって、困らせた事あった。「日本の人のマネしてると、ローカルなヒーローにもなれないですよー。」って。イヤーな奴やなーって思ったやろうな。

 山崎まさよしは全然悪くない。オリジナルや。最近は、ひょっとしたらこの人や後数人が、後に語られる事になるんちゃうかと思ってる。豊かな音楽性と楽しいパフォーマンス、なにより音楽への敬意とミュージシャンシップ。タミオ君やこの人が残っていくのは全然OKでしょ。 ギター上手いし、歌詞もいいし、ユーモア(大事!)があるし。ヴォーカルには好き嫌いはあるやろけど、そんなのビビたることで。スガシカオもいいと思ってたことあったけど、スケールが違うわ。悪いけど。音楽素養の深さにおいて。

 はっきり分かるんよ。ギターを2秒聞いただけでね。この人のバックグラウンドの深さがね。それも洋楽のルーツミュージックへの造詣の深さが。いい時期にいい大人にいいものを聞かせてもらったんやと思う。で、それを先入観なしに全部受け入れたんやろな。日本の環境では、例えばベックのようなミクスチャーは起こりにくいんやけど、この人は例外的にそうなった。それはこの人の性格のよさでもあるやろね。音楽に対しての素直さというか。

 ほら、海外のミュージシャンがラジオから流れる昔のバンドを聞いているのは耳タコなエピソードやけど、日本ではそんなラジオ局、つまり、ルーツをえんえんかける環境じゃないやん、ラジオが。だから人が頼りで、そんな人に恵まれたんよな、きっと。

 でも、その山崎君たちをそのままフォローするのは、どうなんや。たとえ入りクチはそうでも、彼が影響受けたガイジンに行かんかあ?って子達が多いって話ですわ。もう一枚ドアを開けてもらいたいなあ。豊かな音楽がそこに沢山あるのにねえ。

 でもなあ、いいにくいんよ、この子達。真面目でね。いい子でね。で、必ずどうでした?って聞いて来る。僕は「答えようがないわ。だって自分じゃないやん。」って言ってしまう事多いんよ。借りてきたフォーマットでちょっと変えただけにしか思えんのよな。山崎君は、それこそ勇気をもって今のスタイルを作ったと思うし、続けたんよ。それを拝借して「どうでした?」って聞くなよ。それはキミ、あまりに安易やで。ライヴハウスで歌うにはね。